【私の実体験】バックパッカーの「バックパック」選び方と容量:旅のスタイルと人生観が変わった話
バックパックは単なる荷物入れではない
バックパッカー旅を計画する際、まず考えることの一つが「どんなバックパックを持っていくか」ではないでしょうか。私も初めての長期旅を前に、様々な情報を集め、店頭でいくつものバックパックを試着しました。容量、機能、ブランド...。正直、情報過多で何が正解なのか分からなくなり、頭が混乱した時期がありました。
しかし、実際に旅に出てみると、バックパックは単に荷物を入れる袋以上の存在なのだと気づかされます。それは文字通り、旅のスタイルを規定し、時には自分自身の内面まで映し出す鏡のような存在でした。
この記事では、私が初めてのバックパッカー旅でどのようにバックパックを選び、その容量について考えたか、そしてその選択が実際の旅やその後の人生観にどのような影響を与えたのか、私の実体験を基にお話ししたいと思います。
最初の相棒探し:迷いの中で私が重視したこと
初めてのバックパック選びは、本当に手探りでした。インターネット上には「何リットル必要」「このブランドが良い」といった情報が溢れています。しかし、それらの情報が自分に本当に合っているのかどうかは、実際に手に取ってみないと分かりません。
私がバックパックを選ぶ際に最終的に重視したのは、以下の点です。
- 容量: 旅の期間やスタイルを考慮して、現実的に持ち運べる最大容量を決めました。大きすぎると荷物が増える誘惑に駆られ、小さすぎると必要なものが収まらない可能性があります。
- フィット感: 人によって体格は異なります。腰や肩でしっかりと荷重を分散できるか、背面にフィットして歩きやすいかは非常に重要でした。これは実際に荷物を入れて試着しないと分かりません。
- 機能性: アクセスのしやすさ(トップだけでなく前面からも開くか)、ポケットの配置、レインカバーの有無など、旅先での使い勝手を想像しながら確認しました。
- 耐久性: 長期間、過酷な環境で使う可能性を考え、縫製や生地の丈夫さをチェックしました。
- 価格: 予算内で最高の機能とフィット感を持つものを見つけたいと考えました。
特に容量については、「大は小を兼ねる」という考え方もありますが、バックパッカーにとっては逆も真なりだと感じています。大きなバックパックは確かにたくさん入りますが、その分、荷物を増やしてしまいがちです。そして、荷物が増えれば増えるほど、移動は億劫になり、身体への負担も大きくなります。
私は最初の長期旅(数ヶ月間)に向けて、様々な情報を吟味した結果、容量50リットル前後のバックパックを選ぶことにしました。これは、飛行機の機内持ち込み可能なサイズ(一般的に40リットル程度まで)よりは大きいですが、一般的な大型バックパック(60リットル以上)よりは小さいサイズです。この容量にした理由は、必要最低限のものは収まりつつ、物理的に荷物を増やしすぎるのを抑制できると考えたからです。
容量との戦い:何を持って、何を置いていくか
バックパックの容量を決めたら、次はその中に「何を詰めるか」という、まさに自分自身と向き合う作業が待っています。50リットルという限られた空間に、数ヶ月分の生活必需品を収めるのは簡単なことではありませんでした。
最初に荷物を詰め込んだ時は、あっという間にバックパックがパンパンになり、重量もかなりのものになりました。そこで私は、一つずつ荷物を取り出し、「これは本当に必要か?」と問い直す作業を始めました。
- 「もしこれがなくても、現地で調達できるか?」
- 「代替品で済ませられないか?」
- 「念のため持っていく、という類のものではないか?」
この問いかけを繰り返す中で、いかに自分が普段、必要以上のものに囲まれて生活しているかを痛感しました。あの服も、この本も、あの便利グッズも、本当に旅先で必要なのか。旅の目的に立ち返り、優先順位をつけていく過程は、物理的な荷物の整理であると同時に、自分にとって本当に大切なものは何かを見つめ直す時間でもありました。
結果として、出発時には最初に詰め込んだ荷物の半分近くを減らすことができました。シワを気にしない服、必要最低限の洗面具、電子書籍リーダー、そして小さなノートとペン。これだけあれば、世界中を旅できるのだという発見は、私にとって大きな驚きでした。
バックパックの容量が私の旅のスタイルを変えた
容量50リットル前後のバックパック一つで旅をした経験は、私の旅のスタイルに明確な影響を与えました。
もし大型のバックパックを選んでいたら、私はきっとバスや電車での移動を避け、タクシーを利用したり、宿からあまり動かなくなったりしていたかもしれません。あるいは、移動の度に重い荷物に苦労し、旅を楽しむ余裕を失っていた可能性もあります。
しかし、私が選んだ容量のバックパックは、公共交通機関での移動も比較的楽で、時には短距離であれば徒歩での移動も苦になりませんでした。これにより、私はよりローカルな場所に入り込み、地元の人々と同じ目線で街を歩く機会が増えました。
例えば、スーツケースや大きなバックパックではためらってしまうような、石畳の細い路地や階段の多い旧市街も、身軽なバックパックのおかげで気軽に散策できました。また、急な誘いや情報で予定を変更する際も、荷物が少ないためフットワーク軽く対応でき、予期せぬ素敵な出会いや発見に繋がることも少なくありませんでした。
「バックパックの大きさ」という物理的な制限が、逆に私をより自由に、より深く旅へと導いてくれたのです。
「荷物の軽さ」が教えてくれた人生の哲学
旅の途中で、物理的な荷物が少ないことが、精神的な身軽さにも繋がることに気づきました。バックパックの中身が「本当に必要なものだけ」になったことで、私は物欲から解放され、代わりに様々な経験や人との出会いに価値を見出すようになりました。
普段の生活では、「あれもこれも必要かも」と不安から物を溜め込んでしまいがちです。しかし、旅に出て必要最低限で暮らしてみると、意外なほど多くのものが「なくても困らない」と分かります。この気づきは、帰国後も私の生活に大きな影響を与え、「自分にとって本当に大切なものは何か」を常に問い直す習慣へと繋がりました。
物理的な荷物の軽さは、過去の出来事や将来への不安といった、心の中の重い荷物からも私を解放してくれたように感じています。目の前の瞬間に集中し、今ここにある豊かさに気づく。バックパックの容量との戦いは、私にとって人生における「捨てる力」と「大切なものを見極める力」を養う貴重な機会となりました。
まとめ:最高の相棒を見つけて、身軽な旅と人生を
初めてのバックパッカー旅におけるバックパック選びは、単なる道具選びではありませんでした。それは、自分の旅のスタイル、そして人生において何を大切にしたいのかを考える、自分自身と向き合うプロセスだったのです。
「完璧なバックパック」や「正解の容量」は存在しないかもしれません。しかし、旅の目的や自分の体格、そしてどんな旅にしたいのかをじっくり考え、自分にとっての最高の相棒を見つけることは可能です。
これからバックパッカー旅に出ようと考えているあなたも、ぜひバックパック選びの時間を大切にしてみてください。そして、その容量と向き合う中で、物理的な荷物だけでなく、心の中の荷物も一度見直してみてはいかがでしょうか。
身軽なバックパックを背負って踏み出す一歩が、あなたの旅を、そして人生をより豊かに変えてくれることを願っています。