【私の実体験】バックパッカー旅で病気や怪我に。異国の地で孤立した私を救ったもの
バックパッカーとして世界を旅する中で、様々な素晴らしい景色や人との出会いを経験してきました。しかし、旅はいつも順風満帆ではありません。予期せぬトラブルに遭遇することもあります。特に、病気や怪我は、異国の地では想像以上に大きな不安となってのしかかってくる可能性があります。
私も長期のバックパッカー旅の最中に、幸い大事には至りませんでしたが、体調を大きく崩し、心細い思いをした経験があります。今回は、その実体験を通して学んだこと、そして異国の地で孤立を感じた時に私を救ってくれたものについてお話ししたいと思います。
旅先で突然の体調不良、そして感じた孤立
旅も中盤に差し掛かった頃、これまで順調だった体調に異変を感じ始めました。最初は単なる疲れだろうと思っていましたが、数日経っても改善せず、むしろ悪化する一方でした。高熱が出て、全身に力が入らなくなり、ベッドから起き上がるのも辛くなりました。
滞在していたのは、小さな町にあるドミトリーでした。周囲には他の旅行者もいましたが、症状が症状だけに、安易に声をかけることを躊躇してしまいました。言葉の壁もあり、自分の状態を正確に伝える自信もありませんでした。インターネットで情報を集めようにも、頭がぼーっとして集中できません。
「このまま、もしものことがあったらどうしよう」
不安がどんどん募り、異国の地でたった一人、助けを求められない状況にいる自分に気づいた時、強烈な孤立感に襲われました。普段はポジティブで楽天的な私ですが、この時ばかりは心細さで涙が止まりませんでした。頼れる家族や友人は遥か遠く、どうすればいいのか全く分かりませんでした。
困難な状況で私を救ってくれた具体的な行動と支援
しかし、いつまでも落ち込んでいるわけにはいきません。少しずつでも状況を改善しようと、震える手でスマートフォンを握り、以下のような行動を取り始めました。
- 海外旅行保険会社への連絡: 事前に加入していた海外旅行保険の連絡先を確認し、なんとか電話をかけました。症状を伝え、最寄りの日本語対応可能な病院や、受診方法について確認しました。保険会社のサポートは、異国の地で心細い思いをしている私にとって、まさに命綱のように感じられました。
- 宿のスタッフへの相談: 症状が少し落ち着いたタイミングで、意を決して宿のスタッフに助けを求めました。片言の英語とジェスチャーで、自分の体調が悪いこと、病院に行きたいことを伝えました。スタッフはとても親切で、すぐに近くのクリニックの場所を教えてくれ、さらにタクシーを呼ぶのを手伝ってくれました。
- 現地の情報収集: インターネットで、近隣の医療機関の情報や、実際にその国で病院にかかった人の体験談などを必死で調べました。情報の波に溺れそうにもなりましたが、具体的な情報があるだけで少し安心できました。
- 持参していた常備薬の確認: 日本から持参していた風邪薬や解熱剤などを確認し、症状に合わせて服用しました。これは応急処置としては非常に重要でした。
結果として、宿のスタッフに助けられながらクリニックを受診することができ、適切な処置と薬のおかげで、数日後には回復に向かうことができました。この経験を通じて、事前の準備と、困った時に「助けてください」と声を出す勇気の重要性を痛感しました。
この経験から学んだ、旅の本当の「備え」
この病気の経験は、私にとって単なる旅のハプニングではありませんでした。それは、バックパッカーとして旅を続ける上で、そして人生を生きていく上で、何が本当に大切なのかを気づかせてくれる貴重な学びとなりました。
具体的に、私は以下の3つの「備え」の重要性を再認識しました。
- 「情報」という備え: 病気になった時、頼れる人がいない状況では、正確な情報が何よりも力になります。海外旅行保険の内容(補償範囲、連絡先、キャッシュレス提携病院の有無など)をしっかり把握しておくこと。滞在先の国の医療制度について、簡単な情報(緊急連絡先、外国人旅行者が受診しやすい病院など)を調べておくこと。これらの「情報」は、トラブル発生時に冷静に対処するための羅針盤となります。
- 「物理的な」備え: 常備薬をリストアップし、適切に準備しておくことの重要性を痛感しました。発熱、下痢、頭痛、擦り傷など、よくある症状に対応できる薬はもちろん、普段から服用している薬がある場合は、必ず日数分+αを持参すべきです。また、体温計や冷却シートなども役に立ちました。これらは、症状が出始めた初期段階での心強い味方となります。
- 「人とのつながり」という備え: 異国の地での病気は、心細さを極限まで高めます。そんな時、宿のスタッフの方や、偶然出会った他の旅人など、見知らぬ人の優しさがどれほど心に染みるかを知りました。普段から、必要以上に壁を作らず、オープンな姿勢で人と接すること。困った時に「助けてほしい」と素直に伝える勇気を持つこと。これらの「人とのつながり」こそが、物理的な備え以上に、異国の地での困難を乗り越えるための最大の力となるのだと学びました。
困難な経験が教えてくれた「命」と「つながり」の価値
病気や怪我は、旅の計画を狂わせ、不安を煽る出来事です。しかし、その困難を乗り越えた時、得られるものは非常に大きいと感じています。
あの時、高熱でうなされながら感じた孤独感と、回復した後に周囲の人への感謝の気持ちを抱いたことは、私の中で「健康であること」「一人ではないこと」「誰かの支えがあること」という、普段当たり前だと思っていることの価値を根底から見直すきっかけとなりました。
旅は、計画通りに進まないことも多いです。予期せぬトラブルに遭遇する可能性も常にあります。特に初めての長期一人旅では、不安も大きいことでしょう。しかし、適切な備えをすること、そして何よりも、困った時に助けを求める勇気を持つこと。そして、人との繋がりを大切にすることで、多くの困難は乗り越えられるはずです。
旅での病気や怪我といった困難な経験は、自分自身の弱さと向き合い、他者の優しさに触れる機会を与えてくれます。そして、それはきっと、旅を終えてからの人生においても、あなた自身の強さとなり、誰かの支えとなるための大切な学びとなるでしょう。旅は自分を見つけるだけでなく、当たり前の日常の中に隠された価値や、人とのつながりの大切さを再認識させてくれる機会でもあるのだと、私はこの経験を通して強く感じています。