【私の実体験】バックパッカー旅で荷物を減らす挑戦が、私の人生観を変えた話
バックパッカーとして初めて海外を旅する時、多くの人が直面する悩みの一つに「荷造り」があるかと思います。特に、初めての長期旅となると、「あれもこれも必要かも」という不安から、ついつい荷物が多くなってしまいがちです。
私も最初の旅では、スーツケースと大きなバックパック、そしてサブバッグと、かなりの荷物を抱えていました。しかし、旅を続けるうちに、その荷物が身動きを鈍らせ、時には旅の可能性を狭めていることに気づかされました。そこで、私は旅の途中から「荷物を究極に減らす」という挑戦を始めたのです。
この挑戦は、単に物理的な荷物を減らすという行為に留まらず、私自身の内面や、物に対する価値観、そして人生観そのものを根底から変える経験となりました。今回は、私がどのように荷物を減らしていったのか、そしてその経験が旅と人生にどのような影響を与えたのか、実体験を交えてお話しさせていただきます。
最初の旅で荷物が多くなってしまった理由
初めての長期バックパッカー旅に出る前、私は情報収集に多くの時間を費やしました。様々な旅行ブログや準備リストを読み漁り、「〇〇がないと困る」「△△は必須アイテム」といった情報に触れるたび、不安から持ち物を増やしていきました。
「もしもの時のために」と持っていったものが、結局一度も使わなかったり、現地で安く手に入ることが分かったり。移動のたびに重い荷物を運び、階段を上り下りする苦労は、想像以上でした。荷物が多いことで、気軽に立ち寄れる場所が限られたり、治安の心配から行動が制限されたりすることも少なくありませんでした。
この経験から、「もっと身軽になりたい」という思いが強くなり、荷物を減らすことを真剣に考え始めるきっかけとなりました。
私が実践した「荷物を減らす挑戦」
荷物を減らすために、私が意識的に行ったことはいくつかあります。
まず、「本当に必要なもの」の定義を見直しました。これは「旅の目的」に立ち返ることでもありました。私の旅は、多くの場所を移動し、現地の人々と交流し、様々な文化を体験することに重きを置いていました。であれば、重くてかさばるもの、移動の妨げになるものは、たとえ「便利そう」でも必要性が低いと判断できるようになりました。
具体的には、以下の点を徹底しました。
- 服の枚数を最小限に: 着回しできるシンプルなデザインの服を選び、枚数を厳選しました。現地で洗濯する前提で、数日分あれば十分だと気づきました。
- 「万能アイテム」の活用: 一つの用途だけでなく、複数の用途に使えるアイテムを選びました。例えば、速乾性の高いタオルは、バスタオルとしても、洗濯物としても使えました。
- デジタルの活用: ガイドブックや地図は紙媒体ではなく、スマートフォンやタブレットで見るようにしました。本も電子書籍に移行しました。
- アメニティは必要最低限、または現地調達: シャンプーや石鹸なども、小さなボトルに移し替えるか、なくなったら現地で購入するようにしました。
- 予備は最小限に: 「もし壊れたら」という不安から予備を持ちがちですが、予備は本当に故障率の高いものや、現地で調達困難なものだけに絞りました。
- お土産は最小限に: 旅の思い出は、写真や経験として心に残すことにしました。どうしても持ち帰りたいものは、郵送なども活用しました。
最初は不安もありましたが、一度手放す決断をすると、驚くほど心が軽くなったことを覚えています。
荷物が少ない旅が教えてくれたこと
荷物を減らしたことで、旅の質は劇的に変化しました。
- フットワークが格段に軽くなった: 電車やバスの乗り降り、街歩き、宿の移動など、あらゆる場面で身軽さの恩恵を感じました。急な予定変更にも柔軟に対応できるようになり、思いがけない場所への訪問や、面白い人との出会いが増えました。
- 紛失・盗難のリスクが減った: 持ち物が少ない分、管理すべきものが減り、どこに何があるか常に把握できるようになりました。これにより、持ち物の紛失や盗難への不安が軽減されました。
- 「選択」に迷う時間が減った: 服装や持ち物を選ぶ時間がなくなり、朝の準備が圧倒的に楽になりました。これにより、旅の時間をより有効に使えるようになりました。
- 本当に「必要なもの」が見えるようになった: 物理的な荷物を減らす過程で、「自分にとって本当に大切なもの、必要なものとは何か」を考えるようになりました。それは物質的なものだけでなく、情報や人間関係においても同じように考える習慣が身につきました。
荷物を減らす挑戦が人生観に与えた影響
この「荷物を減らす挑戦」は、旅を終えて帰国してからも、私の人生に大きな影響を与え続けています。
以前の私は、流行の服や新しいガジェットなど、様々なものを欲しがる傾向がありました。しかし、旅で最小限のもので十分に生活できることを知った経験から、物に対する価値観が大きく変わりました。
「これは本当に必要か?」 「これを持つことで、私の生活は本当に豊かになるか?」
物を買う前に、立ち止まって考える習慣が身につきました。衝動買いが減り、所有する物の数は以前よりずっと少なくなりましたが、むしろ生活はシンプルになり、本当に大切なものや経験に目を向けられるようになりました。
これは、いわゆる「ミニマリズム」の考え方に通じるものがありますが、私にとっては旅の実体験を通して自然と身についた感覚でした。物質的な豊かさだけが幸せではないこと、そして「持たないこと」がもたらす身軽さや自由さが、想像以上に心地よいことを知ったのです。
終わりに:荷物を減らすことは、自分と向き合う旅でもある
バックパッカー旅の荷造りは、単に荷物を詰める作業ではありません。それは、自分自身の不安や欲望、そして「何があれば安心できるか」といった価値観と向き合うプロセスでもあります。
「荷物を減らす」という挑戦は、時に不安を伴うかもしれません。「あれもこれも置いていったら、後で後悔するのではないか」と心配になることもあるでしょう。しかし、勇気を出して必要最低限に絞ることで、得られる身軽さや自由、そしてそれに伴う新たな発見は、きっとあなたの旅をより豊かなものにしてくれるはずです。
そして、この経験は旅の中だけでなく、あなたの日常生活や人生観にも深く影響を与える可能性を秘めています。ぜひ、あなたのバックパッカー旅でも、「荷物を減らす挑戦」を一つのテーマにしてみてはいかがでしょうか。それは、きっとあなたにとって、忘れられない学びとなるはずです。