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長期バックパッカー旅の終わりは始まりだった 〜 帰国後の人生の変化と考察【私の実体験】

Tags: バックパッカー, 海外一人旅, 人生観, 帰国後の変化, 実体験

長期バックパッカー旅を終えて日本に帰国するということ

バックパッカーとして世界を旅する日々は、いつか終わりを迎えます。それは突然訪れることもあれば、自分で終わりを決めることもあります。私の場合は、一定の期間を区切り、日本に帰国する選択をしました。

旅の終盤は、名残惜しさと、ようやく家に帰れる安堵感、そしてこれから始まる新しい日常への期待と不安が入り混じった複雑な感情でした。たくさんの経験と学びを詰め込んだスーツケース(というよりバックパックですが)と共に、見慣れた日本の空港に降り立った時のことは今でも鮮明に覚えています。

旅の始まりと同様に、旅の終わり、そして帰国後もまた、人生における大きな転換点となります。今回は、私が長期バックパッカー旅を終えて日本に帰国した後に実際に感じた変化や、そこから得られた学びについて、私の実体験をもとに深く掘り下げていきたいと思います。

帰国直後に感じたリアルなギャップ

日本に帰ってきてまず感じたのは、良くも悪くも「便利さ」と「スピード感」でした。自動販売機がどこにでもあり、電車は時間通りに来て、お店は24時間営業している。旅中は当たり前ではなかったことが、日本では当たり前です。

一方で、人々がどこかせかせかしているように見えたり、物質的な豊かさが強調されているように感じたりする場面もありました。旅を通じて、必要最低限のものでも十分に幸せに暮らせることを肌で感じていた私にとって、このギャップは小さくないものでした。

街の音、人々の話し方、空気感。すべてが「日常」であるはずなのに、まるで異国の地にいるかのような不思議な感覚に襲われることもありました。「浦島太郎」とまでは言いませんが、数ヶ月、あるいは数年にわたる旅の経験は、確実に私の感覚や価値観をアップデートしていました。

旅がもたらした具体的な人生観・価値観の変化

では、具体的にどのような変化があったのか、いくつか例を挙げさせていただきます。

1. 物質的な価値観の変容

旅中は、一つのバックパックに必要なもの全てを詰め込んで移動します。服も数枚、持ち物も最小限です。しかし、それで困ることはほとんどありませんでした。むしろ、モノが少ないことで身軽に動け、管理も楽でした。

帰国後、自分の部屋を見渡すと、旅に持っていかなかったたくさんのモノがあることに気づきました。それらの多くは、旅先で出会った人々の暮らしぶりや、自分自身の経験と比較すると、必ずしも必要不可欠ではないものばかりでした。

この経験から、「幸せはモノの数に比例しない」ということを強く実感するようになりました。以前は欲しかったものが、全く魅力的に見えなくなったり、衝動買いが減ったりしました。本当に価値があるのは、経験や人との繋がり、そして自分自身の内面の豊かさであると考えるようになったのです。

2. 時間に対する感覚の変化

バックパッカー旅では、予定通りに進まないことの方が圧倒的に多いものです。バスが遅れたり、道に迷ったり、思わぬ出会いがあったり。その度に、焦っても仕方がない、流れに身を任せることの心地よさを知りました。

帰国後も、この感覚は続きました。以前なら少しの遅れにもイライラしていたのが、大らかに受け止められるようになったのです。また、「時間を効率的に使うこと」だけが正義ではないと考えるようになりました。立ち止まって周囲を観察したり、目的もなく散歩したりする時間の中にこそ、豊かな発見があることを知ったからです。

人生全体に対しても、完璧な計画を立てるよりも、その時々の状況に合わせて柔軟に対応すること、そして目の前の瞬間を大切にすることの重要性を感じるようになりました。

3. 人間関係とコミュニケーションへの意識変化

旅先では、国籍も文化も言語も異なる様々な人々と出会います。共通言語が少なくても、ジェスチャーや片言の英語、そして何より笑顔でコミュニケーションを取ろうと努力します。最初は戸惑いもありましたが、そのうち臆することなく自分から話しかけられるようになりました。

この経験は、帰国後の人間関係にも大きな影響を与えました。初対面の人と話すことへの抵抗感がなくなり、様々なバックグラウンドを持つ人に対してよりオープンな姿勢で接することができるようになりました。また、表面的な付き合いではなく、お互いの内面に深く触れるような関係性を求めるようになったことも、旅がもたらした変化の一つです。

4. 自分自身への向き合い方の変化

一人で異国の地にいると、頼れるのは自分自身だけです。予期せぬトラブルや困難に直面した時、自分で考えて解決策を見つけ出すしかありません。この過程を通じて、自分の中に眠っていた力や、思っていた以上に resilient (回復力のある) であることに気づかされました。

帰国後、小さなことでくよくよ悩むことが減りました。多少の困難があっても、「あの旅のトラブルを乗り越えられたのだから、これも大丈夫だろう」と思えるようになったのです。自分自身の選択に自信を持てるようになり、他人の評価よりも、自分がどうしたいかを重視するようになりました。

また、旅を通して「本当の自分は何に喜びを感じ、何を大切にしたいのか」を深く考える機会を得ました。これは、その後のキャリア選択やライフスタイルの形成において、非常に重要な指針となっています。

旅の終わりは「終わり」ではなく「始まり」

長期バックパッカー旅は、確かに物理的には終わりを迎えます。しかし、その経験が自分自身にもたらした変化は、その後の人生において新しい「始まり」となります。

旅で得た知見、培ったスキル、出会った人々、そして何より変化した自分自身の内面は、決して失われることのない財産です。これらの経験は、私たちが次に踏み出す一歩を、より確かなものにしてくれます。

旅を終えて日本に戻り、新しい日常の中で「旅ロス」を感じることもあるかもしれません。しかし、それは旅がそれだけ素晴らしい経験だったという証です。そして、その経験をどのように活かして生きていくか。それこそが、旅が私たちに与えてくれた最大の問いかけであり、旅が終わった後の「始まり」なのだと感じています。

これから旅立つあなたへ

もしあなたがこれから長期バックパッカー旅を計画しているなら、旅そのものを楽しむことはもちろんですが、その旅が終わった後に自分自身がどう変化しているか、どんな新しい自分に出会えるかにも、ぜひ意識を向けてみてください。

旅は、必ずあなたの中に何かを残します。それはすぐに気づくこともあれば、帰国後の日常の中でふとした瞬間に気づくこともあるでしょう。その全てが、あなたの人生をより豊かにしてくれるはずです。旅の終わりを恐れる必要はありません。なぜなら、それは次の冒険の始まりだからです。

旅の準備を進める中で、具体的なルートや予算、持ち物など、実践的な情報収集も大切です。そして同時に、旅が自分に何をもたらすのか、どんな自分になりたいのか、といった内面的な問いかけも忘れずに行ってみてください。きっと、あなたの旅はより一層深いものになるでしょう。

帰国後の変化を楽しみに、安心して旅へ踏み出してください。応援しています。