バックパッカー旅で見つけた「自分にとって本当に大切なこと」の見つけ方【私の実体験】
バックパッカー旅に「何か」を見つけたいあなたへ
大学生活も後半になり、卒業後の進路について考え始める頃でしょうか。あるいは、今の環境から少し離れて、自分自身と向き合う時間を持ちたいと感じているかもしれません。
就職という大きな節目を前に、バックパッカーとして長期の海外旅を計画されている方もいるかもしれません。どこへ行き、何を準備すれば良いのかという具体的な情報収集と並行して、「この旅で何かを見つけたい」「自分を変えたい」という漠然とした期待や不安も抱いていることと思います。
私自身も、バックパッカー旅に出る前はそうでした。日々の忙しさの中で見失いがちだった、自分にとって本当に大切なものは何だろうか。旅を通じて、その答えのヒントを得られるのではないか、と旅立ちました。
この旅が、私に具体的な答えをポンとくれたわけではありません。しかし、旅の様々な経験を通して、日常の中では気づけなかった「自分にとって本当に大切なこと」の輪郭が見えてきたのは確かです。
今回は、私のバックパッカー旅の実体験に基づき、どのようにして「自分にとって本当に大切なこと」に気づき、それを見つけるためにはどのような意識を持つことが役立つのか、についてお話ししたいと思います。
なぜ、旅で「大切なこと」が見つかるのか?
なぜ、多くの人が旅を通じて自己発見や価値観の変化を経験するのでしょうか。特にバックパッカー旅は、その環境自体が私たちに内省や気づきを促す側面があると感じています。
普段の生活では、私たちは常に「当たり前」という見えない枠の中で生きています。決められた時間、場所、人間関係、情報。これらが快適さや安定をもたらしてくれる一方で、それ以外の選択肢や価値観があることに気づきにくくもします。
バックパッカー旅に出ると、この「当たり前」が根底から覆されます。
- 環境の激変: 見慣れない景色、聞こえてくる知らない言語、嗅いだことのない匂い。五感が常に新しい情報に晒されます。
- 不便さとの共存: 豪華なホテルではなく安宿に泊まり、冷たいシャワーを浴び、乗り換えに苦労する。思い通りにならない状況に直面します。
- 強制的なシンプルライフ: 限られた荷物で生活し、本当に必要なモノが何かを考えざるを得ません。
- 孤独と向き合う時間: 一人で移動し、食事をし、寝る。他人に頼れない状況で、自分自身と深く向き合う時間が増えます。
- 異文化との接触: 価値観や生活習慣が全く違う人々と出会い、話す(あるいは話そうとする)。
これらの経験は、私たちを日常の枠から解放し、良くも悪くも「裸の自分」と向き合わせます。そして、この剥き出しになった自分こそが、「本当に大切なこと」に気づくための出発点となるのです。
私の実体験から見えた「大切なこと」のヒント
私のバックパッカー旅を通じて、具体的にどのようなことへの価値観が変わったのか、いくつか実体験を交えてご紹介します。
「モノ」への価値観:少ない荷物で十分だった
出発前、私は「あれも必要かも、これも必要かも」と荷物を詰め込みそうになりました。しかし、バックパックに入る容量は限られています。泣く泣く荷物を減らしました。
旅が始まると、驚くほど少ないモノで生活できる自分に気づきました。毎日同じTシャツでも気にしない。シャンプーや石鹸は小さなもので十分。服は重ね着や着回しで対応できる。
便利なモノが手に入りにくい環境や、現地の人々のシンプルな暮らしに触れる中で、「自分が普段いかに多くのモノに囲まれ、そしてそれらに依存していたか」を痛感しました。本当に必要なモノはごくわずかであり、それ以外の多くは「あれば便利だけど、なくても困らない」ものだったのです。
この経験は、帰国後の消費行動にも大きな影響を与えました。「欲しい」と思った時に一度立ち止まり、「それは本当に自分にとって必要なものか?」と考える習慣がつきました。モノを所有すること自体よりも、そのモノを使う経験や、モノを持たないことで得られる身軽さや自由さの方に価値を感じるようになったのです。
「時間」への価値観:急がない豊かさ
バックパッカー旅では、しばしば計画通りに進まないことがあります。バスが遅れる、宿が見つからない、道に迷う。そんな時、最初はイライラしたり焦ったりしました。しかし、どうにもならない状況に何度も直面するうちに、「まあ、仕方ないか」と思えるようになっていきました。
カフェでのんびり人間観察をしたり、公園のベンチでただぼーっとしたり、現地の人とおしゃべりに花を咲かせたり。目的地に急ぐだけでなく、目の前の「今」を味わう時間が増えました。
日本では、効率やスピードが重視されがちです。もちろんそれも大切ですが、旅は私に「急がないこと」の豊かさを教えてくれました。時間に追われることなく、自分のペースで過ごすこと。そして、その時間の中で出会う偶然や発見の中にこそ、価値があると感じるようになりました。
帰国後も、以前のように時間に追われる感覚に囚われすぎず、意識的に「余白の時間」を作るように心がけています。
「人間関係」への価値観:一期一会の重み
バックパッカー旅は、本当に多くの人との出会いがあります。同じ旅人、宿のスタッフ、現地の人々。言葉が完璧に通じなくても、笑顔やジェスチャーで心が通じる瞬間があります。
中には、たった数時間、あるいは一晩を共にするだけの人もいます。しかし、限られた時間だからこそ、お互いの話に真剣に耳を傾け、深く分かり合えることもあります。
日常の人間関係は、良くも悪くも続いていくことが前提です。しかし、旅での一期一会は、「今、この瞬間」のつながりの大切さを教えてくれます。いつか別れが来るとしても、その瞬間に心を通わせることの尊さ。これは、家族や友人といった長く続く関係性においても、感謝の気持ちを持つ上で非常に重要な気づきとなりました。
また、見知らぬ土地で助けてくれた人々、温かく迎え入れてくれた人々の存在は、人間の善意というものを強く感じさせてくれました。「人は一人では生きていけない」という当たり前の事実を、心で理解した経験です。
旅の中で「大切なこと」を見つけるためのヒント
これらの経験を踏まえ、これからバックパッカー旅に出るあなたが「自分にとって本当に大切なこと」を見つけるためのヒントをいくつかご紹介します。
- 意識的に「一人になる時間」を持つ: 誰かと一緒に行動することも楽しいですが、思考を整理し、自分の内面と向き合うためには、意図的に一人で過ごす時間を作りましょう。カフェでのんびりしたり、公園で本を読んだり、ただ街を歩いてみたり。
- デジタルデトックスを試みる: スマートフォンから離れる時間を意識的に作りましょう。常に情報に接続されている状態から解放されることで、五感が研ぎ澄まされ、周囲の小さな変化や自分自身の心の声に気づきやすくなります。
- 「当たり前」に疑問を持ってみる: 現地の文化や習慣に触れた時、「なぜこうなっているんだろう?」と疑問を持ってみましょう。そして、自分の「当たり前」と比較してみてください。異なる価値観に触れることで、自分自身の固定観念に気づくことがあります。
- 感じたこと、考えたことを記録する: 日記やメモを取ることをおすすめします。その日あった出来事だけでなく、その時自分が何を感じ、何を考えたのかを書き残すことで、後で見返した時に旅の中での内面の変化を客観的に捉えることができます。
- 不便さやトラブルも経験として受け入れる: 旅には予期せぬ出来事がつきものです。計画通りにいかない時、トラブルに遭遇した時、それをネガティブな出来事としてだけでなく、「この状況から何を学び取れるだろうか?」という視点を持ってみてください。困難を乗り越えた経験は、大きな自信となり、自分にとって何が重要かを見極める良い機会になります。
旅で気づいた「大切なこと」をどう日常に活かすか
旅が終われば、待っているのは日常です。旅で得た気づきや価値観を、そのまま日常に持ち帰るのは容易ではないかもしれません。再び時間の制約や社会のルールの中で生活する中で、旅の感覚が薄れてしまうこともあるでしょう。
しかし、大切なのは、旅で得た気づきを「過去の素晴らしい経験」として終わらせるのではなく、意識的に日々の生活の中に溶け込ませようとすることです。
- モノを選ぶ際に「本当に必要か?」と自問する。
- 忙しい中でも意図的に「余白の時間」を作る。
- 身近な人間関係の中に、旅での一期一会のような感謝の気持ちを見出す。
- 当たり前だと思っていることに疑問を持ってみる。
旅は、人生という長い旅路の中での、濃密な学びの期間です。そこで得た「自分にとって本当に大切なこと」のヒントは、帰国後もあなたの羅針盤となり、進むべき道を照らしてくれることでしょう。
最後に:旅は答え探しではなく、自分探しの時間
バックパッカー旅は、明確な「答え」をくれる場所ではありません。しかし、旅の経験を通して自分自身と深く向き合い、様々な価値観に触れることで、「自分にとって何が大切なのか」という問いに対するヒントや方向性を見つけることができます。
これから旅に出るあなたの旅が、素晴らしい経験と、自分自身への新たな気づきに満ちた時間となることを心から願っています。
旅の過程そのものが、あなたにとってかけがえのない「大切なもの」となるはずです。