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【私の実体験】バックパッカー旅が社会に出る前に身につけるべき「生きる力」を教えてくれた

Tags: バックパッカー, 生きる力, キャリア, スキル, 実体験, 問題解決, 異文化理解, 主体性, 就職活動

はじめに:旅立つあなたへ、人生を変える可能性を秘めた一歩

大学を卒業して、いよいよ社会へ。期待とともに、漠然とした不安を感じている方もいらっしゃるかもしれません。特に、就職活動を控えている、あるいは既に始めている方にとって、「自分に何ができるのか」「社会でやっていけるのか」という問いは、常に頭の片隅にあることでしょう。

もしあなたが今、バックパッカーとして海外長期旅を計画しているなら、それは素晴らしい機会です。なぜなら、バックパッカー旅で得られる経験は、単なる思い出に留まらず、社会に出た時に必ず役に立つ普遍的な「生きる力」を育んでくれるからです。

私自身のバックパッカー旅も、そうでした。出発前は、社会に対する不安や、自分自身の能力への自信のなさを感じていました。しかし、旅を通して様々な壁にぶつかり、それを乗り越えていく中で、私は大学の講義やアルバイトだけでは決して得られなかったであろう、確かな「生きる力」を身につけることができたと実感しています。

この記事では、私の実体験に基づき、バックパッカー旅が具体的にどのような「生きる力」を私に与えてくれたのか、そしてそれが社会に出た時にどのように役立っているのかをご紹介します。

旅で身についた3つの「生きる力」

バックパッカー旅は、予測不可能な出来事の連続です。その中で、計画通りにいかない状況に対応し、多様な人々に出会い、自分自身と向き合う時間は、私たちの中に眠る様々な能力を引き出し、鍛えてくれます。私が旅を通して特に強く意識し、身につけることができたと感じている「生きる力」は、主に以下の3つです。

1. 予期せぬ困難を乗り越える「問題解決能力」と「対応力」

バックパッカー旅では、トラブルは日常茶飯事です。フライトの遅延や欠航、予約していた宿が見つからない、言葉が全く通じない状況での移動、道に迷う、お腹を壊す、物を盗られそうになるなど、枚挙にいとまがありません。

例えば、南米のある都市で、早朝のバスに乗るためにバスターミナルへ行った際、バス会社から「予約が見つからない」と言われたことがありました。事前にメールのやり取りを見せても、なぜか予約が入っていないと言われ、出発時間も迫っていました。もし日本にいる時と同じ感覚だったら、パニックになって何もできなかったかもしれません。

しかし、旅を続ける中で、私は「まずは落ち着くこと」「現状を正確に把握すること」「利用できる情報を集めること(Wi-Fiを探して予約メールを再確認したり、他のバス会社の情報を調べたり)」「可能な選択肢を考えること(このバス会社の次の便を待つか、別のバスを探すか、タクシーで行くかなど)」といったステップを、自然と踏めるようになっていました。結局、その時はバス会社側のシステムエラーだったことが判明し、無事に乗車できましたが、この経験を通して、私はどんな状況でも冷静に情報を整理し、解決策を見つけ出すための思考回路が身についたと実感しました。

これは社会に出ても非常に重要です。仕事で予期せぬ問題が発生した際、感情的にならず、論理的に状況を分析し、冷静に対応する力は、あなたの大きな強みとなるでしょう。

2. 多様な価値観を受け入れ、柔軟に対応する「異文化理解力」と「適応力」

世界には、日本とは全く異なる文化、習慣、そして考え方を持つ人々がいます。バックパッカー旅は、そのような多様性に直接触れる貴重な機会です。

ある国では、約束の時間にルーズであることが当たり前だったり、別の国では、衛生観念が日本とは全く違ったりします。初めての経験に戸惑い、時には不快に感じることもありました。しかし、そこで「おかしい」と否定するのではなく、「なぜそうなのか」「彼らにとってはどういう意味があるのか」と考える視点を持つことを、旅は教えてくれました。

異文化に触れる中で、自分自身の「当たり前」がいかに狭い世界で形成されていたかに気づかされます。そして、異なる価値観を持つ人々とコミュニケーションを取り、理解しようと努める過程で、自分の考え方を柔軟に変化させる力が養われます。

これは社会、特にグローバル化が進む現代社会において不可欠な力です。様々なバックグラウンドを持つ同僚や顧客と円滑な関係を築き、新しい環境や未知の状況にも臆することなく飛び込んでいける適応力は、あなたのキャリアを大きく広げる可能性を秘めています。

3. 自分と向き合い、人生の選択を切り拓く「自己理解力」と「主体性」

一人で旅をする時間は、良くも悪くも自分自身と向き合う時間です。誰も知っている人がいない土地で、何を食べるか、どこへ行くか、誰と話すか、すべてを自分で決めなければなりません。時には孤独を感じ、自分の本音と向き合うことになります。

私は旅の途中、目的もなく一人でベンチに座って何時間も街を眺めていることがありました。忙しい日常から離れ、ただ「存在する」だけの時間を持つことで、自分が本当に何に興味があるのか、どんな時に楽しいと感じるのか、何に価値を置いているのかを、静かに内省することができました。

また、旅の計画を立てる段階から、実行、そして変更の連続の中で、「自分で決める」ことの重要性と、その決定に対する責任を学びました。人の意見を聞くことも大切ですが、最終的に決断し、その結果を受け入れるのは自分自身です。この経験が、自分の人生を主体的に選択していく力となりました。

社会に出ると、キャリアパスの選択、転職、独立など、様々な場面で「自分で決める」ことが求められます。旅を通して培われた自己理解と主体性は、あなたが周囲に流されることなく、自分にとって最善の道を切り拓いていくための羅針盤となるでしょう。

旅で得た「生きる力」は、社会でどう活かされるか

バックパッカー旅で身につけたこれらの「生きる力」は、帰国後の私の社会生活において、想像以上に役立っています。

就職活動では、トラブル対応のエピソードを話すことで、私の問題解決能力や冷静な判断力を具体的にアピールすることができました。また、多様な文化に触れた経験は、私の視野の広さやコミュニケーション能力を示す根拠となりました。何よりも、「自分の人生を自分で選択し、行動してきた」という旅の経験そのものが、私の自信となり、面接官に主体性や行動力を強く印象づけることができたと感じています。

入社後も、新しい業務への適応、予期せぬトラブルへの対応、多様なバックグラウンドを持つ同僚との協業など、旅で培った力が様々な場面で活きています。特に、困難な状況に直面した時に「旅でもっと大変なことがあった」と思える心の余裕や、「どうにかすれば道は開ける」という前向きな思考は、私を強く支えてくれています。

最後に:不安を抱えながらも、一歩踏み出すあなたへ

もしあなたが今、バックパッカー旅への期待とともに、漠然とした不安を感じているなら、それは自然なことです。私もそうでした。しかし、その不安を乗り越えて一歩踏み出した先に待っているのは、単なる旅行以上の、あなたの人生観を根底から変えるほどの経験と、社会で生きていく上でかけがえのない「生きる力」です。

もちろん、旅の目的は人それぞれです。しかし、もしあなたが将来への不安を感じているなら、バックパッカー旅は、その不安を自信に変え、自分自身の可能性を広げるための最高の自己投資となるはずです。

旅で得た「生きる力」は、あなたの卒業後のキャリアだけでなく、人生そのものを豊かにしてくれるでしょう。さあ、勇気を出して、自分自身を見つける旅へ、そして未来への一歩を踏み出してみてください。あなたの旅が、素晴らしいものでありますように。