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【私の実体験】バックパッカー初めての海外長期旅、後悔しないルートの決め方と計画のポイント

Tags: バックパッカー, ルート計画, 長期旅行, 旅の準備, 人生観

はじめに:初めての長期旅、ルート計画の不安と期待

大学を卒業してすぐ、私はバックパッカーとして初めての海外長期旅に出ました。その時、まずぶつかった大きな壁の一つが「ルートをどう決めるか」ということでした。

地球上には魅力的な場所が無数にあり、期間も予算も限られています。どこに行けば良いのか、どんな順番で回れば効率的で楽しめるのか、そして何よりも「後悔しない」選択ができるのか。情報収集をすればするほど、選択肢の多さに混乱し、不安ばかりが募っていきました。

もしあなたが今、大学卒業後の進路に悩み、長期バックパッカー旅を計画中で、ルート決定に迷いや不安を感じているとしたら、私の過去の姿と重なるかもしれません。この記事では、私自身の初めての海外長期旅で経験したルート計画のリアル、失敗談、そしてそこから学んだ後悔しないためのポイントをお伝えしたいと思います。単なる観光地の羅列ではなく、旅のルート計画がどのように旅そのもの、そしてその後の人生に影響を与えたのか、私の内面の変化とともにお話しさせてください。

長期バックパッカー旅、ルート計画の基本的な考え方

初めての長期バックパッカー旅のルートを考える際、まず押さえておきたい基本的な考え方があります。これらは、私が実際に旅をしてみて、計画段階で意識すべきだったと痛感した点でもあります。

1. 期間と予算から逆算する

旅の期間と予算は、ルートを決定する上での最も基本的な制約条件です。

これらの要素をまず明確にすることで、無数にある選択肢を絞り込むことができます。私の場合は、当初は半年程度の予算と期間を想定していましたが、最初の数ヶ月で予想以上に出費がかさんだため、途中で計画を見直す必要が出てきました。計画当初の予算はあくまで目安とし、予備費を多めに見ておくことをおすすめします。

2. 興味のある地域やテーマを決める

期間と予算で大枠が決まったら、次は「何を見たいか、何を体験したいか」というあなたの興味に焦点を当てます。

これらの興味によって、訪れるべき地域や国がおのずと見えてきます。例えば、歴史や遺跡が好きなら南米やヨーロッパ、自然や多様な文化なら東南アジアなどが選択肢として挙がるでしょう。

私は最初、「とりあえずバックパッカーらしい場所に行こう」と漠然と考えていましたが、それでは軸が定まりませんでした。そこで、自分が本当に興味のあること(歴史、アート、食)を具体的にリストアップしてみたところ、ヨーロッパのある国が強く候補に挙がり、そこから周辺国へと広げていく形でルートの起点が見つかりました。

3. ビザや気候、祝祭日を考慮する

計画段階で見落としがちなのが、ビザの要不要、現地の気候、そして大規模な祝祭日です。

私の経験では、ある国でビザに関する情報を直前まで確認せず、慌てて準備する羽目になったことがあります。また、訪れた時期がちょうど現地の大型連休と重なり、予定していた移動手段が取れず、急遽計画を変更せざるを得なくなったこともありました。事前のリサーチは非常に大切です。

4. 移動手段と所要時間を把握する

国や都市間の移動手段(飛行機、電車、バス、船など)と、それぞれの所要時間を考慮してルートを組みます。

移動に予想以上に時間がかかったり、思わぬ遅延があったりすることは日常茶飯事です。移動日には余裕を持たせた計画を立てることが、精神的なゆとりにも繋がります。

5. 完璧を目指さず、柔軟性を持たせる

これが最も重要なポイントかもしれません。初めての長期旅で完璧なルートを計画しようとすることは、ほぼ不可能です。そして、たとえ完璧に計画したとしても、旅に出れば予期せぬ出来事や新しい出会いによって、計画通りに進まないことの方が多いでしょう。

こうした「想定外」こそが、旅の醍醐味の一つでもあります。カチカチに固めた計画では、そうした予期せぬ素晴らしい機会を逃してしまう可能性があります。大まかなルートや必見の場所だけを決めておき、それぞれの場所での滞在日数などはある程度柔軟に決められるようにしておくと、より豊かな旅になるでしょう。

私は最初の計画で、日単位で滞在場所や移動手段を決めていましたが、結局はほとんど計画通りに進みませんでした。しかし、そのおかげで素晴らしい出会いや、ガイドブックには載っていない場所への訪問が実現しました。計画通りにいかないことを楽しめるくらいの心のゆとりを持つことが大切です。

私の初めての海外長期旅、具体的なルート計画プロセス(実体験)

私の初めての海外長期バックパッカー旅は、約8ヶ月間、主に東南アジアから始まり、ネパール、インドを周り、その後ヨーロッパへと移動しました。

最初、私は世界一周のような壮大なルートを漠然と考えていましたが、予算と経験のなさから、まずはアジアに絞ることにしました。特に、物価が比較的安く、バックパッカー向けのインフラが整っている東南アジアを最初の目的地としました。

  1. 情報収集の開始: ガイドブック(主に地球の歩き方)、旅行ブログ、YouTube、SNS(Instagramで行きたい場所を探すなど)で情報収集を始めました。特に個人のブログは、リアルな情報が多く参考になりました。
  2. 行きたい国・都市のリストアップ: 気になった国や都市をリストアップし、地図上にプロットしてみました。これにより、地理的な位置関係と移動ルートのイメージが掴みやすくなりました。
  3. 大まかな移動ルートの決定: 東南アジアを時計回りまたは反時計回りに周遊するルートが一般的であることを知り、陸路での移動がしやすいように国境を意識しながら大まかな流れを決めました。私の場合は、タイ→ラオス→ベトナム→カンボジア→タイに戻り、そこから飛行機でマレーシアやシンガポールなどへ移動するという流れを考えました。
  4. 各国の滞在期間の見積もり: 各国で見たいもの、やりたいことをリストアップし、だいたいの滞在期間を割り出しました。しかし、この時点ではかなりアバウトで、実際には大きく変わることになります。
  5. 予算の見積もり: ガイドブックやブログの情報をもとに、各国の物価や移動費から概算の予算を立てました。宿泊費(ドミトリー中心)、食費(ローカルフード中心)、移動費(バス、列車)、観光費などを項目ごとに計算しました。
  6. ネパール、インドへのルート追加: 東南アジアを回るうちに、他の旅人からネパールやインドの魅力について聞き、当初の計画にはなかったこれらの国への訪問を決めました。これはまさに、旅先での出会いによる計画変更の一例です。
  7. ヨーロッパへの移動: アジアの旅が一区切りついたところで、かねてより興味のあったヨーロッパへ移動することにしました。ここからは予算も期間も限られていたため、行きたい国をさらに絞り込み、効率的な移動を意識してルートを組み直しました。

計画段階では、情報が多すぎて何が正解か分からず、毎日頭を悩ませていました。しかし、全てを事前に決めようとするのではなく、あくまで大まかな流れを決めることに集中しました。

ルート計画で失敗したこと、そこから学んだ教訓

私の最初のルート計画は、決して完璧なものではありませんでした。いくつかの失敗を経て、多くのことを学びました。

失敗談1:旅程を詰め込みすぎた

特に旅の序盤、私は1日単位で「〇〇を見て、△△に行って、夜には次の街へ移動」というような細かく詰め込んだ計画を立てていました。しかし、実際には移動に時間がかかったり、訪れた場所が予想以上に魅力的でもっと滞在したくなったり、単純に疲れて休息が必要だったりして、計画通りに進むことはほとんどありませんでした。

教訓: 長期旅においては、移動日や予期せぬ滞在延長を考慮し、各都市や国での滞在期間には余裕を持たせるべきです。「〇〇日までに次の国へ移動する」といった最低限の目標設定にとどめ、具体的な過ごし方は現地で決めたり、気持ちが変わったら気軽に計画を変更したりする柔軟性が大切です。

失敗談2:移動手段の選択肢を狭めすぎた

「バックパッカーは陸路で移動すべきだ」という固定観念にとらわれ、移動時間が非常にかかるルートを選んでしまったことがありました。もちろん陸路移動には魅力がありますが、体力的、時間的なコストを考慮せず無理な移動を続けると、疲弊して旅を楽しむどころではなくなってしまいます。

教訓: 時には飛行機(特にLCC)を使うことも効率的な選択肢です。陸路と空路、それぞれのメリット・デメリットを理解し、体力や時間、予算に合わせて柔軟に使い分けることが、快適に旅を続ける上で重要です。

失敗談3:情報のインプット過多で現地での発見の喜びが薄れた

あまりに事前に情報を集めすぎた結果、「あ、これはブログで見た通りだ」「写真で見たのと一緒だ」というように、現地での驚きや発見の喜びが少し薄れてしまった時期がありました。特に有名な観光地では、事前に知っている情報が多すぎて、新鮮な感動が少なかったように感じます。

教訓: 事前の情報収集は大切ですが、全てを知る必要はありません。最低限の治安情報や交通手段、見たいものの概要だけを把握しておき、詳細や感動は現地で「発見する」楽しみを残しておくことも、旅をより豊かなものにするコツだと気づきました。

ルート計画、そして旅自体がもたらした人生観の変化

私の初めての海外長期旅は、ルート計画段階から既に始まっていました。そして、その計画プロセスや、計画通りにはいかない実際の旅を通して、私の人生観は根底から変わっていきました。

1. 「計画通りにいかないこと」への耐性と柔軟性の獲得

旅のルート計画を立てる過程で、私は物事を論理的に考え、手順を踏んで目標を達成することの重要性を学びました。しかし、実際の旅では、予期せぬ遅延、体調不良、素晴らしい出会いによる急な行き先変更など、「計画通りにいかないこと」の連続でした。

最初はそれに戸惑い、ストレスを感じることもありましたが、次第に「まあ、これも旅の一部だ」「計画通りにいかなくても、なんとかなる」と思えるようになりました。この「なんとかなる」という感覚は、帰国後、就職活動や日々の生活で予期せぬ困難に直面した際にも、冷静に対応できる力となりました。完璧な計画を立てることよりも、変化に柔軟に対応する力の方が、人生においてはるかに重要だと気づかされたのです。

2. 目的地だけでなく「過程」の価値への気づき

ルート計画を立てている時は、「どこに行くか」「何を見るか」という目的地ばかりに意識が向かいがちでした。しかし、バスや列車での長時間移動、国境越え、途中の小さな村での偶然の立ち寄りなど、目的地と目的地の間の「過程」にも、忘れられない素晴らしい体験が数多くありました。

例えば、インドでの列車移動中に出会った地元の人々との会話や、ネパールの山村で予定外に滞在することになった際に見た人々の暮らしなどです。これらの経験は、当初の計画には全く含まれていませんでしたが、私の心に深く刻まれています。人生においても、明確な「目的地」を設定することは重要ですが、そこにたどり着くまでの試行錯誤や回り道、そして「過程」そのものにこそ、価値や学びがあるのだということを、旅が教えてくれました。

3. 計画することと、手放すことのバランス感覚

旅のルート計画は、準備段階における重要なステップです。しかし、同時に、旅に出た後はその計画を良い意味で「手放す」勇気も必要です。計画に縛られすぎず、その時々の自分の気持ちや出会いを大切にして柔軟に行動することで、ガイドブックには載っていない自分だけの特別な旅を創り出すことができます。

これは人生にも通じます。将来の計画を立てることは大切ですが、想定外のチャンスや新しい可能性に出会った時、それまでの計画に固執せず、新しい道を選択する柔軟性を持つことが、人生をより豊かにするのではないでしょうか。旅を通して、私は計画することと、手放すことの絶妙なバランス感覚を養うことができたと感じています。

まとめ:後悔しないルート計画は「完璧な計画」ではなく「変化に対応できる心構え」

初めての海外長期バックパッカー旅のルート計画は、多くの情報に触れ、悩み、試行錯誤するプロセスそのものが、すでに旅の始まりです。完璧なルートを事前に全て決めようとすることよりも、大まかな方向性を決め、期間や予算といった制約を理解し、そして何よりも、旅先で予期せぬ変化があった際に柔軟に対応できる心の準備をしておくことの方が、後悔しない旅をする上で遥かに重要だと私は学びました。

旅のルートは、あなたの興味や予算、期間によって無限に存在します。正解はありません。あなた自身の「見たい」「体験したい」という気持ちを大切に、最初のステップを踏み出してみてください。そして、旅に出たなら、計画通りにいかないことも含めて、その道のりすべてを楽しんでください。

あなたの初めての海外長期バックパッカー旅が、素晴らしい経験となり、新たな自分自身を発見するきっかけとなることを心から願っています。