【私の実体験】初めてのバックパッカー旅、道中で困らない「お金」管理のリアルと価値観の変化
初めてのバックパッカー旅を計画されている方の多くが、おそらく「お金」について少なからず不安を感じているのではないでしょうか。私もそうでした。限られた予算でどれくらい旅ができるのか、現地の通貨はどう扱うのか、そして何より、せっかく貯めた大切なお金を盗まれたり失くしたりしないか。
今回は、私自身の初めての長期バックパッカー旅での実体験に基づき、旅中のリアルなお金管理の工夫、そして旅を通じてお金に対する価値観がどのように変化したのかをお話ししたいと思います。
旅に出る前のお金に対する不安
旅の計画段階で、様々な情報に触れるほど、お金に関する不安は増していくように感じていました。どこへ行けば安いのか、宿代はいくらかかるのか、食費は?移動費は?そして予期せぬ出費にどう備えれば良いのか。
当時の私は、日本での生活と同じように、お金は多ければ多いほど安心できるものだと考えていました。しかし、バックパッカー旅の現実を知るにつれ、それだけではないことに気づかされます。むしろ、多すぎる現金やカードはリスクを高めることさえあるのです。
旅中のリアルなお金管理術
実際に旅に出てみて、私が行っていたお金管理の具体的な方法をいくつかご紹介します。これはあくまで私個人のやり方ですが、初めての旅で不安を抱える方にとって、何かのヒントになれば幸いです。
1. 予算の考え方と記録
長期のバックパッカー旅では、日ごとの予算を大まかに決めておくことが有効です。国や地域によって物価は大きく変動するため、事前に情報を調べつつ、滞在中の平均的な費用を想定します。私の場合は、ノートアプリや手書きのノートに毎日の出費を記録していました。
- 記録の目的: 予算内で収まっているかを確認するだけでなく、何にどれくらいお金を使っているかを把握するためです。後で見返すと、自分の旅のスタイルや優先順位が見えてくることがあります。
- 予備費の重要性: 計画通りにいかないのが旅です。病気や怪我、交通機関の遅延、トラブルなど、想定外の事態に備えるための予備費は必ず用意しておきましょう。私の場合は、総予算の2〜3割を目安にしていました。
2. 現金とカードの賢い使い分け
旅先で最も悩むのが、現金とクレジットカード、キャッシュカードの使い分けではないでしょうか。
- 現金の役割: 小さな商店や屋台、ローカルな交通機関など、カードが使えない場所では現金が必須です。また、チップを渡す際にも現金が必要になります。ただし、多額の現金を常に持ち歩くのはリスクが高いです。必要最低限の量を分散して持ち歩くようにしていました。
- クレジットカードの役割: 主要なホテルやレストラン、大きなお店、航空券やバスの予約など、広く利用できます。ポイント還元や海外旅行保険が付帯しているカードを選ぶとメリットが大きいでしょう。支払いだけでなく、緊急時の資金としても頼りになります。複数のブランド(Visa, Mastercardなど)のカードを準備しておくことをおすすめします。
- キャッシュカード(国際キャッシュカード・デビットカード)の役割: 現地のATMで現地通貨を引き出す際に非常に便利です。両替所よりもレートが良い場合が多く、必要な時に必要なだけ引き出せるため、多額の現金を持ち歩くリスクを減らせます。ただし、利用できるATMや手数料はカード会社や国によって異なるため、事前に調べておくことが重要です。
私の場合は、主に国際キャッシュカードで現地通貨を引き出し、大きめの支払いやオンライン決済にはクレジットカードを利用していました。常に数十ドル相当の米ドル現金を非常用として分散して持つようにしていました。
3. 盗難対策とリスク分散
お金に関する最も大きな不安の一つが盗難です。これは私も常に注意を払っていた点であり、実際にヒヤリとした経験もあります。
- お金の分散: 全ての現金を一つの財布に入れたり、全てのカードを同じ場所に保管したりするのは非常に危険です。私は、メインの財布、別の場所に隠した少額の現金、パスポートと共に管理する予備の現金・カードなど、複数箇所に分けて保管していました。いわゆるシークレットポーチや腹巻きタイプの貴重品入れなども有効です。
- 持ち歩き方: 街歩きをする際は、バッグを体の前で持つ、リュックサックは必ずチャックを閉める、人混みでは特に注意するなど、基本的なことを徹底していました。特に乗り物の中や市場など、人が密集する場所では警戒を怠らないことが重要です。
- 筆者のヒヤリ体験: ある国で、バスに乗る際に隙をつかれ、リュックのサイドポケットに入れていたはずの小銭入れがなくなっていることに気づきました。幸い、少額の現金と不要なカードしか入れていませんでしたが、一瞬の油断が招いた出来事でした。この経験から、どんなに疲れていても、公共の場では持ち物への意識を常に高く持つことの重要性を痛感しました。
お金を通じた内面的な変化
バックパッカー旅を通じて、私のお金に対する考え方は大きく変わりました。
1. 少ないお金でも豊かに旅できることを知る
高価なホテルに泊まらなくても、高級レストランに行かなくても、旅は十分に楽しめます。むしろ、ローカルな食堂で地元の人々と肩を並べて食事をしたり、市場で物々交換のようなやり取りをしたりすることの中に、お金では買えない価値があることを知りました。
清潔で安全な宿、温かい食事、そして次の街への移動費があれば、物理的には旅は続けられます。それ以上の「豊かさ」は、どれだけ現地の人と関われるか、どれだけその土地の文化に触れられるか、どれだけ自分自身の心が開いているかにかかっていると感じるようになりました。
2. 物やサービスの本質的な価値を見極める視点
観光客向けの価格と地元価格の違いを目の当たりにしたり、発展途上国で物の値段が日本の感覚と全く違ったりする経験を通じて、物の値段が必ずしもその「価値」や「作り手の労力」と一致しないことを強く意識するようになりました。
これは帰国後、日本での買い物をする際にも影響を与えています。本当に必要なものなのか、その値段に見合う価値があるのかを以前よりも深く考えるようになりました。
3. お金の不安が減ると、旅はもっと自由になる
旅の序盤は、お金のことが常に頭の片隅にありました。「これは安いか?」「無駄遣いしていないか?」といった考えにとらわれがちでした。しかし、お金の管理方法が確立し、予算内で旅を続けることができるという自信がついてくると、お金に関する不安は徐々に軽減されていきました。
お金の心配が減ることで、心に余裕が生まれ、より積極的に現地の人と交流したり、予定していなかった場所に立ち寄ってみたりと、旅の自由度が高まったのです。お金は目的ではなく、旅を継続し、新しい経験を得るための「手段」であるという認識が強固になりました。
まとめ:お金は旅を豊かにするためのツール
バックパッカー旅におけるお金の管理は、安全でスムーズな旅を続けるための重要な要素です。しかし、それ自体が旅の目的になってしまう必要はありません。
適切な準備と工夫によってお金に関する不安を軽減し、旅の途中で出会う人や文化、そして自分自身の内面の変化に意識を向けることで、旅はより深く、かけがえのない経験になります。
初めてのバックパッカー旅を計画されているあなたが、お金の不安に縛られず、地球を歩き、自分自身を深く見つける旅をされることを願っています。旅先でのお金の管理は、きっとあなたに新しい視点と自信をもたらしてくれるでしょう。