【私の実体験】長期バックパッカー旅の洗濯事情:リアルな方法と面倒くさがり屋の私が学んだこと
バックパッカー旅における「洗濯」のリアル
バックパッカーとして世界を旅する中で、多くの学びや非日常の体験がありました。しかし、どんなに刺激的な日々を送っていても、決して欠かせない「日常」があります。その一つが、「洗濯」です。
これからバックパッカー旅を計画されている方、特に初めての長期旅を考えている方にとって、「旅の間、服はどうやって洗うのだろうか」という疑問や不安があるかもしれません。私も出発前は、洗濯のことなどあまり深く考えておらず、正直少し面倒に感じていました。しかし、いざ旅に出てみると、この地味な「洗濯」という行為が、旅の快適さや持ち物量、ひいては自身の価値観にも影響を与えることを実感したのです。
この記事では、私の実際のバックパッカー旅での洗濯事情、具体的な方法や、洗濯にまつわるエピソード、そしてこの日常的なタスクを通して私が学んだことについてお話ししたいと思います。単なる洗濯のやり方だけでなく、旅が教えてくれた内面的な変化もお伝えできれば幸いです。
私が実践していたリアルな洗濯方法
バックパッカー旅中、私は主に以下の3つの方法で洗濯をしていました。旅の状況や滞在スタイルによって使い分けていました。
1. 手洗い:最も基本的で頻繁だった方法
最も多かったのが、宿の洗面所やお風呂場での手洗いです。
- メリット: いつでもどこでもできる、費用がかからない(洗剤代のみ)。少量でも気軽に洗える。
- デメリット: 時間と手間がかかる。乾きにくい素材だと困る。大量の洗濯には不向き。
- 私の経験: 私は速乾性の衣類を多めに持っていたため、手洗いを頻繁に行っていました。特にドミトリーに泊まることが多かったので、他の宿泊客に迷惑をかけないよう、朝早くや夜遅い時間にサッと済ませることが多かったです。旅行用のチューブ入り洗剤は非常に役立ちました。絞って干す際は、持参した洗濯ロープやS字フックが重宝しました。
2. コインランドリー:まとめて洗いたい時に便利
都市部やある程度規模の大きな町では、コインランドリーを利用することもありました。
- メリット: 一度に大量の洗濯ができる。乾燥機があればすぐに乾く。
- デメリット: 費用がかかる。探す手間が必要な場合がある。場所によっては治安や衛生面に注意が必要。
- 私の経験: 1週間分など洗濯物が溜まった時や、雨季で手洗いだと乾きにくい時期などに利用しました。アジアではまだあまり見かけませんでしたが、欧米やオセアニア、南米の一部都市では比較的簡単に見つけられました。乾燥機にかける際は、衣類の縮みに注意が必要でした。
3. 宿のランドリーサービス:手間なく済ませたい時に
ゲストハウスやホテルが提供しているランドリーサービスです。
- メリット: 全てお任せなので、全く手間がかからない。
- デメリット: 費用がかなり高くなることが多い。他の洗濯物と一緒に洗われる可能性がある。
- 私の経験: これは本当に疲れていたり、急いでいたりする時など、ごく稀にしか利用しませんでした。バックパッカーの予算的にはあまり現実的ではないと感じることが多かったです。
これらの方法を、荷物の量、次の移動までの日数、天候、宿の設備、そしてその時の自分の体力や気分に合わせて選んでいました。
洗濯にまつわるエピソードと失敗談
洗濯は地味なタスクですが、旅の中では思わぬ出来事につながることもありました。
乾かない!生乾きとの戦い
東南アジアの雨季を旅していた時、ゲストハウスの部屋で手洗いした服が全く乾かず困った経験があります。扇風機の前につるしたり、ドライヤーを当ててみたりしましたが、なかなか難しい。結局、生乾きのまま次の町へ移動し、スーツケースの中で大変な匂いになってしまったことがありました。この経験から、雨季の旅ではコインランドリーや乾燥機付きの宿を積極的に探すようになりましたし、速乾性の素材がいかに重要かを再認識しました。
洗濯物紛失?のヒヤリ体験
あるゲストハウスの共用スペースに洗濯物を干していた時のことです。数時間後見に行くと、かけていたはずの靴下が一足見当たりません。他の人の洗濯物と紛れてしまったのか、誰かが間違えて持って行ってしまったのか…短い靴下だったので諦めかけましたが、念のためスタッフに聞いてみると、風で飛ばされて中庭に落ちていたことが分かりました。幸い見つかりましたが、共用スペースに干す際は、自分の洗濯物であることを認識してもらいやすいよう、目印をつけたり、貴重品と一緒に干さないといった工夫が必要だと感じました。
洗濯を通して学んだこと:ミニマリスト思考と物の価値
毎日、あるいは数日おきに自分の手で服を洗い、絞り、干すという作業は、最初は「面倒だな」と感じていました。しかし、旅が進むにつれて、この小さな「洗濯」という日常タスクが、私にいくつかの重要な気づきを与えてくれたのです。
物の量に対する考え方の変化
限られた服を繰り返し洗って着る。これは、私が旅で実践した生活です。日本にいた頃は、クローゼットに服がたくさんあり、特に深く考えずに新しい服を買うこともありました。しかし、旅先では持てる荷物の量に限界があります。数枚の服を着回す中で、「本当に自分に必要な服はこれだけで十分なのか」と考えるようになりました。流行の服を追いかけるのではなく、着心地が良く、機能的で、気に入った服を大切に着ること。洗濯という行為は、まさに私がミニマリスト的な思考へとシフトするきっかけの一つだったと言えます。
手間をかけることの価値
手洗いは時間も手間もかかります。しかし、自分の手で丁寧に洗い、汚れが落ちていくのを見ると、何だか愛着が湧くような、清々しい気持ちになることもありました。既製品を消費するだけでなく、自分で手をかけることの価値を、洗濯を通して学んだように思います。
清潔さのありがたみと衛生観念
当たり前ですが、洗濯をしないと服は汚れていきますし、匂いも気になります。特に暑い国では、すぐに汗をかくので頻繁に洗う必要があります。清潔な服を着ることの気持ちよさ、そして旅先で体調を崩さないためにも衛生を保つことの重要性を、身をもって感じました。
バックパッカー旅で洗濯を乗り切るための実践アドバイス
これから旅に出る方へ、私の経験を踏まえた洗濯に関するアドバイスです。
- 速乾性の衣類を重視する: これは本当に重要です。化学繊維のTシャツや下着などは驚くほど早く乾きます。綿素材は肌触りは良いですが、旅先での洗濯には不向きな場合が多いです。
- 旅行用洗剤は必須: 小さな固形石鹸タイプやチューブタイプなど、コンパクトで持ち運びやすいものがあります。現地の洗剤が合わない可能性も考慮し、一つは持っていくと安心です。
- 洗濯ロープとS字フック: 宿の部屋に干す場所がない時などに役立ちます。窓枠やベッドフレームなど、ちょっとしたスペースを物干し場に変えられます。
- 折りたためるハンガー: 軽量の携帯用ハンガーがあると便利です。
- 洗濯ネット: 小さなものやデリケートなものを洗う際、手洗いでも使えるものがあると役立ちます。
- 洗濯頻度を決める: 例えば「下着と靴下は毎日、Tシャツは2〜3日に一度」のように、自分なりのルールを決めておくと計画的に洗濯できます。
- 乾かし方を工夫する: 手洗い後は、バスタオルなどに挟んで水分をしっかり取ることで乾く時間を短縮できます。湿度の高い場所では、エアコンや扇風機の風を当てたり、宿の人に乾かす場所について聞いてみたりするのも良いでしょう。
小さな日常から広がる学び
バックパッカー旅の「洗濯」は、華やかな観光や絶景巡りのような特別な体験ではありません。しかし、この普段なら当たり前にできてしまうタスクを、旅先の限られた環境で行うことは、自分の持ち物や時間、そして物事に対する価値観を見つめ直す良い機会となりました。
面倒だと感じていた洗濯が、いつしか自分の生活や持ち物を見つめ直すきっかけになり、清潔な服を着るささやかな幸せを感じさせてくれるものになりました。「これだけで十分暮らせる」「この服を大切にしよう」という気持ちは、帰国後の私の生活にも確かに影響を与えています。
もしあなたがバックパッカー旅の洗濯について少し不安を感じているとしたら、大丈夫です。現地には様々な方法がありますし、たとえ失敗したとしても、それもまた旅の経験になります。そしてきっと、この小さな日常のタスクが、あなたにとっての新しい発見や学びにつながるはずです。