【私の実体験】バックパッカー旅で「お金の価値観」が根底から変わった話
はじめに:旅立つ前のお金に対する考え方
バックパッカーとして世界を旅する前、私にとって「お金」は不安の種でした。長期の旅に必要な資金をどう貯めるのか、現地でどのくらい使うのか、トラブルがあったらどうしようかなど、考え始めるとキリがありませんでした。
大学を卒業してすぐに旅に出ようと考えていた私は、限られた時間の中で資金を準備し、同時に旅の計画も進める必要がありました。インターネットやガイドブックで情報収集をする中で、「〇〇ドルの旅」「節約バックパパッカー術」といった記事をたくさん読みました。
それらの情報から、旅の予算を立てることはできましたが、どこか数字上の話に感じられ、本当にお金を管理しながら旅ができるのか自信がありませんでした。どちらかというと、お金は「減っていくもの」「計画通りに使うべきもの」という認識が強く、その使い方が旅の成功を左右する、と考えていたように思います。
しかし、実際に旅に出て、様々な状況に直面する中で、私のお金に対する価値観は根底から揺さぶられ、大きく変わっていきました。
リアルな旅の費用と計画のズレ
旅が始まって最初に気づいたのは、計画段階で立てた予算はあくまで目安であり、現実には多くの変動要因があるということでした。
例えば、
- 思いがけず滞在を延ばしたくなった街
- どうしても参加したかった現地のイベント
- 体調を崩して利用した医療機関
- 交通機関の遅延やキャンセルによる追加費用
- 現地の物価変動や為替レートの変動
など、予期せぬ出費や、計画外にお金を使いたくなる場面は頻繁に訪れました。最初のうちは、計画通りにお金を使えない自分に焦りを感じることもありました。「このままでは資金が尽きてしまうのではないか」という不安が常に頭の片隅にありました。
特に印象的だったのは、ある国で体調を崩し、病院へ行く必要が生じた時のことです。海外旅行保険には加入していましたが、現地の医療費は想像以上に高く、一時的に大きな出費となりました。この経験から、お金はただ節約するだけでなく、「万が一」に備えるための重要なツールでもあることを痛感しました。
賢い節約術から見えてきた「価値」の本質
もちろん、無駄な出費を抑えるための努力は続けました。ドミトリーのある安宿を選ぶ、自炊をする、現地の公共交通機関を利用するなど、様々な節約方法を試しました。
しかし、ただ単にお金を「使わない」ことだけを目指すのではなく、「何にお金を使うか」を意識するようになったのです。
例えば、安宿を選んでも、共有スペースで他の旅人や地元の人と交流できる場所であれば、それはお金以上の価値を生んでいると感じられました。高価なレストランではなく、ローカルな市場で地元の人で賑わうお店で食事をすることは、その国の文化を深く知る貴重な体験となり、それはお金では買えない価値でした。
また、交通費を節約するために長時間バス移動を選んだ時、窓の外を流れる景色や、隣に座った地元の人との拙い会話から得られた気づきは、お金には換算できない旅の財産となりました。
このように、旅を続ける中で、私は「お金」というフィルターを通して物事を見るのではなく、「自分にとって本当に価値のある体験は何か」を基準に、お金を使うかどうかを判断するようになっていったのです。
「お金がない」という状況が教えてくれたこと
旅の途中で、予定よりも早く資金が減ってしまい、文字通り「お金がない」状況に近づいた時期がありました。次の目的地への移動手段をどうするか、今日の食事はどうするかなど、一つ一つのお金の使い道に真剣に向き合わざるを得ませんでした。
この状況は精神的には楽ではありませんでしたが、同時に私に多くのことを教えてくれました。
- 創造力と工夫: お金がないからと諦めるのではなく、どうすれば目的を達成できるか、 alternative な方法はないかを探す力が養われました。ヒッチハイクを試みたり、物々交換を提案したり、地元の人に助けを求めたり。
- 他者への感謝: 見ず知らずの私に手を差し伸べてくれた人々の優しさに触れ、お金とは全く異なる、人間的なつながりの価値を深く理解しました。
- 本当に必要なものを見極める力: 限られた資金の中で、何が本当に自分にとって必要なものなのか、優先順位をつける力が身につきました。
この「お金がない」という経験は、私にとって大きな成長の機会となりました。お金がある時には気づけなかった、人間本来の持つ力や、見えない豊かさに気づかされたのです。
旅で変わった「お金の価値観」と帰国後の変化
バックパッカー旅を終えて日本に帰国した時、私のお金に対する考え方は旅立つ前とは全く異なるものになっていました。
- 「節約=我慢」ではない: 賢くお金を使うことは、単なる我慢ではなく、自分の求める価値を最大化するための手段であると理解しました。
- 「経験」への投資: 物にお金を使うよりも、新しい経験や学びにお金を使うことの価値を強く感じるようになりました。
- お金は「手段」である: お金は人生を豊かにするためのツールであり、それ自体が目的ではない、という意識が明確になりました。
- 感謝の気持ち: お金を稼ぐこと、使うこと、そしてそれによって得られるもの全てに対して、感謝の気持ちを持つようになりました。
帰国後、就職してからも、この旅で培われたお金の価値観は私の生活に根付いています。以前のように漠然とした不安を感じることはなくなり、自分の価値観に基づいたお金の使い方を意識しています。無駄遣いを減らす一方で、自己投資や大切な人との時間など、自分が本当に価値を感じるものには惜しみなくお金を使えるようになりました。
まとめ:旅が教えてくれたお金との向き合い方
バックパッカー旅は、私にとって単に世界を巡る経験だっただけでなく、自分自身、そしてお金というものと深く向き合う時間でした。
計画通りにいかない現実、資金が減っていく不安、お金がない中で見つけた工夫や人々の優しさ、そしてお金では買えない貴重な経験の数々。これら全てが、私のお金に対する固定観念を打ち破り、「お金の価値観」を根底から変えるきっかけとなりました。
これからバックパッカー旅に出ようと考えている方も、お金に対する不安があるかもしれません。しかし、その不安も旅の一部であり、乗り越える過程で必ず新しい発見や学びがあります。計画通りに進まなくても大丈夫です。予期せぬ出来事の中にも、お金の本当の価値や、自分にとって大切なものを見つけるヒントが隠されています。
旅は、お金の使い方だけでなく、人生そのものとの向き合い方を教えてくれる貴重な機会です。ぜひ、あなた自身の旅を通じて、新しいお金との関係性を見つけてみてください。それはきっと、あなたの人生をより豊かにしてくれるはずです。