【私の実体験】計画通りにいかない旅のリアルと、私が身につけた心の余裕
バックパッカーとして世界を旅していると、本当に様々な出来事に遭遇します。その中でも特に、事前に立てた「計画」がその通りに進まないことは、日常茶飯事と言えるかもしれません。
初めて海外に長期で一人旅に出ようと計画されている方の中には、「ちゃんと計画通りに進められるだろうか」「もし何かイレギュラーがあったらどうしよう」と不安に思われている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
私自身も旅立つ前はそうでしたし、旅の途中でも計画の変更を余儀なくされるたびに、最初は戸惑いや焦りを感じたものです。しかし、そうした経験を積み重ねる中で、計画通りにいかないことの中にこそ、旅の面白さや深い学びが隠されていることに気づきました。
ここでは、私がバックパッカー旅で実際に経験した「計画通りにいかないリアル」と、そこから私がどのように心の余裕を身につけていったのか、そしてそれが帰国後の人生にどう繋がったのかについてお話ししたいと思います。
旅の計画は「ガイドライン」、現実の旅は「アドリブ」
長期のバックパッカー旅では、ある程度の計画を立てることは非常に重要です。予算、期間、大まかなルート、渡航先の情報収集など、準備段階での計画は旅の安全とスムーズな進行のために欠かせません。
しかし、実際に旅が始まると、計画通りに進むことの方がむしろ少ないことに気づかされます。交通機関の遅延や欠航、現地での予期せぬお祭りやストライキ、体調の変化、あるいはただ単に「もっとここに長くいたい」という気持ちの変化など、様々な要因で計画は容易に狂います。
私の経験では、特に南米やアジアの一部地域では、時刻表通りにバスが来ないこと、予約していたはずの列車が理由なく遅延すること、国境越えに予想外の時間がかかることなどは日常の一部でした。
例えば、南米のボリビアを旅していた時、次の街への移動のために早朝のバスに乗る予定でした。チケットは事前に購入し、時間通りにバスターミナルに行ったのですが、待てど暮らせどバスが来る気配がありません。ターミナルの表示板は更新されず、スタッフに聞いても明確な答えは得られない。結局、出発予定時刻から2時間以上遅れてバスは到着しました。他の乗客も皆、当然のように待っている様子を見て、「ああ、これがこの土地の『普通』なのか」と妙に納得したことを覚えています。
こうした経験は、最初は正直なところストレスでした。「なんで時間通りに来ないんだ」「この後の予定が全部狂ってしまう」とイライラしたり、不安になったりすることもありました。
「待つ」時間と「計画変更」がくれた意外なギフト
計画通りにいかない状況に直面した時、私たちは「時間を無駄にした」「損をした」と感じがちです。しかし、視点を少し変えてみると、そこに意外なギフトが隠されていることに気づきます。
先ほどのボリビアでのバス待ち時間。最初はイライラしていましたが、待っている間に周りの人々の様子を観察したり、ターミナルで売られている地元の軽食を試したりするうちに、その場所のリアルな雰囲気を肌で感じることができました。もしバスが時間通りに来ていたら、慌ただしく乗車し、その土地の空気を感じることなく通り過ぎていたかもしれません。
また、ある国で予定していた列車が突然運休になり、急遽バスでの移動に切り替えたことがありました。列車からの景色を楽しみにしていたので最初はがっかりしましたが、バスの車窓からは、線路からは見えない小さな村々や人々の生活がより近くに見えました。バスの中で隣り合わせた地元の人との会話も生まれ、その土地の文化について深く知る機会を得ることができました。
このように、計画通りにいかないこと、特に「待つ」時間や「計画変更」は、意図していなかった新しい出会いや発見、そして普段なら見過ごしてしまうかもしれないその土地のリアルに触れる機会を与えてくれることが多々あります。
計画に縛られない「心の余裕」を育むために
では、どうすれば計画通りにいかない状況でも、焦ったり不安になったりせず、心の余裕を持って対応できるようになるのでしょうか。私の経験から言えるのは、以下の2つの考え方が重要だということです。
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計画を「絶対」ではなく「目安」と捉える: もちろん、大きな枠組み(例:この国に〇週間滞在する、〇月までにここまで移動する、など)は必要です。しかし、日々の細かなスケジュールについては、あくまで「こうなったら良いな」という希望的な目安として捉えるようにしました。計画は変更される可能性があるもの、という前提を持つことで、実際に変更になった時の精神的なダメージを減らすことができます。
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「なんとかなる」と「楽しむ」気持ちを持つ: これは根拠のない楽観主義ではなく、これまでの旅で「なんだかんだ言って最終的には目的地にたどり着けた」「困った時には誰かが助けてくれた」といった経験の積み重ねから生まれた信頼感のようなものです。多少のトラブルや遅延があっても、命に関わるような事態でなければ、たいていのことは解決策があります。問題解決のプロセス自体も、後から振り返れば面白いエピソードになるものです。むしろ、予定外の出来事を「これも旅の醍醐味だ」と前向きに捉え、「この状況から何が生まれるだろう?」と好奇心を持つことで、ストレスはぐっと軽減されます。
旅が教えてくれた、人生における「計画外」の価値
バックパッカー旅で「計画通りにいかない」経験を何度も重ねるうちに、私は一つの重要な学びを得ました。それは、人生においても計画通りにいかないこと、予期せぬ出来事が起こることこそが、私たちを成長させ、新しい可能性に気づかせてくれる機会なのだということです。
旅立つ前の私は、大学卒業後の進路についても「こうあるべき」という固定観念に囚われがちでした。計画を立て、その通りに進むことが「正解」だと信じて疑いませんでした。
しかし、旅を通して、計画通りにいかない状況に柔軟に対応し、そこから予期せぬ発見や学びを得る経験を重ねる中で、人生においても完璧な計画など存在せず、変化や不確実性を受け入れることの重要性を痛感しました。計画通りに進まなくても、立ち止まったり、寄り道したりする中に、想像もしなかった素晴らしい出会いや、自分自身の新しい一面を見つけることがあるのです。
この学びは、帰国してからの私の進路選択や、その後の人生における困難に直面した時の心の持ち方に大きな影響を与えました。「計画通りにいかない」ことへの不安は消え、むしろ「何が起こるだろう?」というワクワク感へと変わっていきました。
まとめ:計画通りにいかない旅も、あなたの力になる
初めてのバックパッカー旅を控えているあなたは、きっと様々な情報収集をされていることと思います。ルート、予算、持ち物、安全対策…どれも大切な準備です。計画をしっかり立てることは、旅を始める上での大きな安心材料になるでしょう。
しかし、同時に心に留めておいていただきたいのは、旅は生き物だということです。計画はあくまで出発点であり、旅の途中で変化し、時に覆されるものです。そして、その計画通りにいかない瞬間こそが、あなたを成長させ、忘れられない思い出を作り、人生観を揺さぶるような深い学びを与えてくれる可能性を秘めています。
予期せぬ出来事に遭遇したときは、まずは深呼吸をして、状況を受け止めてみてください。そして、その状況から何か面白いこと、新しい発見ができないか、少しだけ探してみる心の余裕を持ってみてください。
計画通りにいかない旅は、決して「失敗」ではありません。それは、あなたの旅をより豊かに、そしてあなた自身をより強く、柔軟にしてくれる貴重な経験となるはずです。不安もあるかと思いますが、ぜひ「なんとかなる」という気持ちで、旅の「計画外」も楽しんでみてください。あなたの旅が、素晴らしい出会いと学びにあふれたものになることを願っています。