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【私の実体験】バックパッカー旅の「目的」と「行き先」はこう決める 〜 自分と向き合う計画の第一歩

Tags: バックパッカー, 旅の計画, 目的, 行き先, 自己分析, 内省, 人生観

バックパッカーとして世界を旅する中で、私の人生観は根底から変わりました。多くの方が旅に出る前、特に初めての長期旅であれば、様々な情報に触れて期待とともに多くの不安を抱えることと思います。どこに行こうか、何を持っていこうか、安全だろうか、費用はどれくらいかかるのか。尽きない疑問の中で、計画の最初の段階で最も重要でありながら、意外と見過ごされがちなのが、「なぜ旅をするのか、どこへ行くのか」という根源的な問いに向き合うことです。

これは単なる場所選びではなく、旅を通じて何を得たいのか、自分とどう向き合いたいのかという、内省的なプロセスを含んでいます。私自身の経験を振り返りながら、この「目的」と「行き先」を決めることの重要性と、その具体的な考え方をお伝えしたいと思います。

なぜ「目的」と「行き先」を最初に考えるべきなのか

旅の計画を始める時、多くの人は「行きたい場所リスト」や「人気の観光地」から情報収集を始めるかもしれません。それも素晴らしいスタートですが、バックパッカー旅、特に長期にわたる一人旅を考えているのであれば、その前に立ち止まって「なぜ、自分はこの旅に出たいのだろうか」と問いかけてみることをお勧めします。

私の初めての長期バックパッカー旅を計画していた頃、私にも漠然とした「海外に行きたい」という思いはありましたが、具体的な目的は曖昧でした。ただ「日常から離れたい」「何か変わるきっかけが欲しい」といった気持ちが大きかったように思います。しかし、具体的な行き先やルートを考え始めるにつれて、その「何か」が何なのか、旅を通じて何を得たいのかを明確にしないと、情報が膨大すぎて計画が立てられないことに気づきました。

「目的」が明確であれば、自ずとそれに適した「行き先」が見えてきます。例えば、「美しい自然の中で心を落ち着けたい」のであれば、都会よりも国立公園や山間部、海辺が候補になります。「異文化に深く触れ、人々の暮らしを肌で感じたい」のであれば、観光地だけでなくローカルな町や村を訪れるルートを考えることになります。このように、目的は旅の羅針盤となり、計画全体の方向性を定めてくれるのです。

私が「目的」を考えるために自分に問いかけたこと

当時の私が「旅の目的」を考えるために、ノートに書き出しながら自分自身に問いかけた質問をいくつかご紹介します。

これらの問いは、すぐに答えが出るものではありませんでした。しかし、時間をかけて自分自身と向き合うことで、表面的な動機だけでなく、心の奥底にある願望や不安が明らかになっていきました。例えば、「一人で物事を決め、行動する力をつけたい」という隠れた願望や、「全く知らない環境でどう振る舞えば良いか分からない」という不安などです。

このように自己分析を進めるうちに、私の旅の目的は単なる「日常からの逃避」ではなく、「未知の世界に飛び込み、困難を乗り越える経験を通じて、自分自身の内面的な強さや多様な価値観を学ぶこと」へと変化していきました。

「目的」から「行き先」を絞り込むプロセス

目的がある程度明確になったら、次はその目的に合った「行き先」を具体的に考えていきます。私の場合は、「内面的な強さを学び、多様な価値観に触れる」という目的から、以下の要素を考慮して行き先を絞り込みました。

  1. 多様な文化が混在している地域: 一つの国の中でも様々な民族や文化が共存している場所は、多様な価値観に触れる機会が多いと考えました。
  2. バックパッカー向けのインフラがある程度整っているが、ローカルな生活も体験しやすい場所: 安全面や利便性も考慮しつつ、観光地だけでなく人々の日常に入り込めるような場所を選びたいと思いました。
  3. 比較的物価が抑えられ、長期滞在しやすい国: 資金に限りがあったため、費用を抑えながらじっくり旅ができる地域が魅力的でした。
  4. 治安に大きな不安がない場所: 初めての長期一人旅だったので、過度に危険とされる地域は避けたいと考えました。

これらの条件と照らし合わせながら、アジア、特に東南アジアの複数の国が候補に挙がりました。ガイドブックやインターネットでさらに情報収集を進め、それぞれの国の特徴や文化、治安、物価などを比較検討しました。最終的に、多様な文化、比較的良好な治安、バックパッカー向けのインフラの充実、そして何より私の心が惹かれる要素が多かった国を最初の目的地に決めました。

重要なのは、この段階で完璧な行き先リストや詳細なルートを決めようとしないことです。目的と大まかな方向性が定まれば十分です。旅の途中で計画が変わることは珍しくありませんし、むしろその柔軟性こそがバックパッカー旅の醍醐味の一つでもあります。

旅の計画プロセスそのものがもたらす学び

旅の目的や行き先を深く考えるプロセスは、単に旅の準備を進めるだけでなく、私自身にいくつかの重要な学びをもたらしました。

まず、自分自身の内面と真剣に向き合う機会になったことです。日々の忙しさの中で見過ごしていた自分の本当の願いや不安、価値観に気づくことができました。これは、旅が始まる前からすでに「自分を見つける」プロセスが始まっていたと言えるかもしれません。

次に、情報過多の中で本質を見抜く力が養われたことです。インターネット上には無数の情報がありますが、自分の目的に照らし合わせて必要な情報を選び取る練習になりました。

そして、計画することの意義と限界を知ることができました。計画を立てることで旅への期待感が高まり、漠然とした不安が具体的な準備項目へと置き換わります。しかし同時に、世界は計画通りにはいかないこと、そして予期せぬ出来事の中にこそ面白い発見や学びがあることを、旅の計画段階から予感するようになりました。この予感は、実際に旅に出てから何度も現実のものとなり、私に柔軟性や臨機応変さをもたらしてくれました。

まとめ:自分と向き合う計画が、人生を変える旅の始まり

バックパッカー旅の計画、特に最初の「目的」と「行き先」を考えることは、単なるタスクではなく、自分自身と深く向き合う貴重な時間です。なぜ旅に出たいのか、旅を通じて何を得たいのかを真剣に考えることで、あなたの旅は単なる観光旅行を超え、「人生を変える旅」へと変わる可能性を秘めています。

もちろん、完璧な答えが見つからなくても大丈夫です。旅は始まりであり、問いの答えは旅の途中で、あるいは旅を終えた後で見つかることの方が多いでしょう。しかし、計画の第一歩として自分に問いかけ、その問いを持って旅に出ることで、あなたはきっと、旅の景色だけでなく、自分自身の内側にも新しい発見を見つけることができるはずです。あなたの「自分を見つける旅」が、素晴らしい一歩を踏み出せるよう願っています。