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【私の実体験】バックパッカー旅で見つけた、将来の「やりたいこと」〜 計画外の発見から生まれた私の目標

Tags: バックパッカー, 一人旅, 目標設定, 自己発見, 人生観の変化, 進路相談

はじめに:旅に出る前の「漠然とした不安」

私がバックパッカーとして旅に出たのは、大学卒業後の進路に悩んでいた時期でした。周りの友人が次々と就職先を決めていく中で、「自分は何をしたいのだろう」「どんな仕事に就きたいのだろう」という問いに対する明確な答えが見つからず、漠然とした不安を抱えていました。

旅をすれば何か変わるのではないか、自分にとって本当に大切なものや、将来の「やりたいこと」が見つかるのではないか、そんな淡い期待を胸に、私は一歩を踏み出すことにしました。しかし、正直なところ、具体的な目標や、「これだけは達成したい」という明確な目的があったわけではありませんでした。ただただ、この現状を変えたい、何か新しい刺激が欲しい、という気持ちが強かったように思います。

多くのバックパッカーがそうであるように、私も出発前は情報過多の中で混乱し、計画通りに進められるか、安全に旅を終えられるかといった不安に押しつぶされそうになったこともあります。しかし、旅が進むにつれて、当初の計画や目的とは全く異なる形で、自分にとって本当に大切な「何か」が見つかる経験をすることになったのです。

当初の計画と、計画通りにいかない旅の始まり

私の旅の計画は、あくまで大まかなものでした。最初の数カ国のルートを決め、最低限の宿だけを予約し、あとは現地で考えよう、というスタンスでした。情報収集には時間をかけましたが、それは主に安全対策や最低限の知識を得るためであり、旅の途中で「これをする!」といった具体的なアクティビティや「この仕事を見つける!」といった目標はありませんでした。

旅が始まると、早速計画通りにいかないことばかりでした。電車の遅延、予約していた宿が見つからない、現地のストライキに巻き込まれるなど、予期せぬ出来事が次々と起こりました。当初は「困ったな」「どうしよう」と戸惑うばかりでしたが、一つ一つ問題をクリアしていく中で、徐々に「計画通りにいかないことこそが旅の醍醐味かもしれない」と感じるようになっていきました。

計画外の出会いと経験が視野を広げる

私が「将来のやりたいこと」について考え始めるきっかけとなったのは、全て計画外の出来事でした。

ある国で、たまたま同じゲストハウスに泊まっていた旅人から、現地のNGOの活動について聞く機会がありました。そのNGOは、子どもたちの教育支援を行っており、話を聞くうちに、彼らの活動内容や情熱に強く心を惹かれるようになりました。私は当初、その国で特定の場所を観光する予定でしたが、急遽予定を変更し、そのNGOが主催するイベントにボランティアとして参加させてもらうことにしたのです。

イベントでは、様々な国から来た人々が、共通の目的のために協力し合う姿を目の当たりにしました。言葉の壁はありましたが、互いを尊重し、助け合いながら活動を進める中で、私は強烈な達成感と喜びを感じました。それは、これまで日本で経験したどの活動とも異なる、心震えるような体験でした。

また、別の場所では、現地の小さな村に数日間滞在する機会がありました。そこでは、電気や水道が十分に整備されていない環境で暮らす人々と時間を共にしました。彼らの生活は物質的には豊かではありませんでしたが、家族や近所の人々との絆が深く、互いに支え合いながら満ち足りた日々を送っているように見えました。彼らとの交流を通じて、私がこれまで「当たり前」だと思っていた価値観が根底から揺さぶられました。「豊かさ」とは何か、人生で本当に大切なものは何か、深く考えさせられる時間となりました。

内省の時間から見えてきた「やりたいこと」

これらの計画外の出会いや経験は、私に多くの気づきを与えてくれました。特に、NGOでの活動や村での滞在は、単なる異文化体験を超え、自分自身の価値観や将来について深く考えるきっかけとなりました。

それまで私は、漠然と「安定した仕事に就かなければならない」と考えていましたが、旅で様々な生き方や価値観に触れるうちに、もっと自分の内側にある「やりたいこと」に耳を傾けても良いのではないか、と感じるようになったのです。教育支援に心を惹かれたこと、人との繋がりや助け合いに喜びを感じたこと、そして物質的な豊かさだけが幸福ではないことを知った経験は、バラバラだった点と点が線で繋がるように、私の中で一つの方向性を示してくれました。

旅の後半では、景色を見るだけでなく、行く先々で「人々は何を大切にしているのか」「社会にはどんな課題があるのか」といった視点を持つようになりました。それは、当初の「何か見つけたい」という漠然とした思いが、「自分は何を通じて社会と関わりたいのか」という具体的な問いへと変化していった過程だったように思います。

帰国する頃には、旅に出る前の不安は消え、大学時代には考えもしなかった分野への興味と、将来に向けて挑戦したいという明確な「やりたいこと」が見つかっていました。

なぜ旅が「やりたいこと」を見つける手助けになるのか

私の経験から、旅が「やりたいこと」や「新しい目標」を見つける手助けになる理由はいくつかあると考えています。

一つは、日常からの物理的・精神的な解放です。慣れた環境から離れ、全く新しい状況に身を置くことで、これまで当たり前だと思っていたことや、自分を縛っていた固定観念から自由になることができます。

次に、多様な価値観との接触です。旅先で出会う人々、文化、生活様式は、私たちが普段接しているものとは大きく異なります。様々な価値観に触れることで、自分の視野が広がり、「こんな生き方もあるのか」「こんな考え方があるのか」といった発見が、「自分にとっての幸せや価値観は何だろう」と内省するきっかけになります。

そして、自分と向き合う時間の増加です。一人で移動したり、予期せぬ状況に対処したりする中で、自分自身の内面に目を向ける時間が増えます。情報過多の日常から離れ、静かに自分と向き合う時間を持つことで、心の声に耳を傾けやすくなります。

私の場合は、計画通りにいかない旅のプロセスそのものが、柔軟性や適応力を育み、予期せぬ出会いや経験を受け入れる心の余裕を生み出しました。そして、その計画外の出来事の中にこそ、自分にとって本当に心を動かされる「何か」が隠されていたのです。

まとめ:旅は答えそのものではなく、自分を見つけるための「ヒント」

バックパッカー旅に出る前は、私のように「旅をすれば、きっと人生の答えが見つかるはずだ」と期待する方もいらっしゃるかもしれません。しかし、旅は万能の答えをくれる場所ではありません。むしろ、自分自身と向き合い、様々な角度から物事を見るための「ヒント」や「気づき」を与えてくれる場所だと感じています。

もし今、将来の進路や「やりたいこと」が見つからず不安を感じている方がいるなら、バックパッカー旅は、その問いに対する答えを直接教えてはくれませんが、答えを見つけるための新しい視点や、自分自身の可能性に気づくための貴重な経験を与えてくれるかもしれません。

完璧な計画は必要ありません。予期せぬ出来事も、新しい発見のチャンスです。旅の途中で立ち止まり、内省する時間も大切にしてみてください。そして、計画通りにいかないことから生まれる偶然の出会いや経験を恐れず、それらを自分の内面と繋ぎ合わせて考えることで、きっと、あなたにとっての「やりたいこと」や、将来へ向けた大切なヒントが見つかるはずです。あなたの旅が、自分自身を見つける素晴らしい旅になることを願っています。